Walk Slowly

仕事と育児とヒュッゲ

絶対に笑ってはいけない「7Pay 終了」

ども、ゆっくり歩いてますか?すぎやまです。

全国的に猛暑が続いていて、梅雨だったのが嘘のような天気ですね。そんな中、7Payが終了するという嘘のようなニュースが舞い込んできて、思わず笑ってしまったと同時に「これを笑ってはいけないな」という気持ちがわき上がってきたので、今日はそんな話を書きたいと思います。

7Payはなぜ終了するのか?

思ってみれば私たちが7Payと知り合ったのは7月1日のこと、まだ知り合ってちょうど1ヶ月しか経っていません。でもその出会いは衝撃的でした。

まずサービス開始からたった1日で不正アクセスが急増。被害額は5500万円近くにのぼり、逮捕者がでる騒ぎに発展しました。中には国際的な詐欺組織も手を出していたとされる報道もあり、開始した途端にここまで悲惨なことになるサービスとは初めて出会ったような気がします。(PayPayもまぁまぁ酷かったですが)

それからに7Payはサービス開始の2日後にクレジットカードおよびデビットカードによるチャージを停止。事実上の凍結状態になっていました。その後の記者会見でも「社長が2段階認証を知らない」ということが話題になり、多くの人が呆れた果ててしまったことは記憶に新しいところです。

その後は恐らく被害の保証や新しいセキュリティー構築に四苦八苦していたのでしょうが、7月30日になって事態は急変します。セブンイレブンとしては、なんとか問題を収拾し、7Payのサービス再開を急ぎたかったのでしょう。

「全利用者のパスワードをリセットする」

という前代未聞の暴挙に出てしまいました。

突如としてログイン不能になった利用者は混乱し、再度ログイン出来なくなってしまう人や、「残高が消えた!」と思い込む人が続出。まさに阿鼻叫喚と呼ぶに相応しい事件へと発展していきました。

時を同じくして、お金をチャージしていないはずの7Payアカウントでなぜか買い物ができてしまう(つまりタダで買えた)という謎現象も発生し、セブンイレブン側ももはや何から手をつけて良いか分からない状況になってたのだと思います。あえなく本日「7Pay、9月30日に終了」という運びになりました。

サービス開始からわずか3ヶ月。とはいえ、7Payをまともに使うことができたのは恐らく24時間もなかったことでしょう。まぁこの部門の責任者は間違いなくサヨウナラというレベルの大失態です。

ここまでのことになってしまうと、まぁサービス再開したとしても積極的に使おうという人はそういないでしょう。そもそもセブンイレブンではPayPayやLINE Payというサービスを使えますし、なによりnanacoという独自サービスも継続されているので、7Payは生まれる前からアイデンティティーを喪失したような子どもだったと言えます。

「終了しても誰も困らない。」7Payはそんな哀愁あふれるサービスだったのです。

絶対に笑ってはいけない7Pay終了

7Payについては「あまりにもお粗末」という他ない仕様と対応で、終了するのは必然のように思えますが、私は今回のセブンイレブン側の「スピーディーなサービス終了判断」をある意味でとても評価しています。

ちょっと考えてみてください。「7Pay導入のコスト」はいったいいくらくらいでしょうか?システム構築、設備投資、店舗オペレーション、マニュアル作成、広告などなどを考えると、とてつもない費用がかかっていることは明白です。

さらにいえば、意気揚々と開始したサービスをあっさり終了するというのは、セブンイレブンのブランド価値も大きく毀損するようにも感じられます。普通の会社なら恥ずかしくてできないはずです。

「このまましばらく凍結して、ほとぼりが冷めるのを待って再開しよう」とか考えるのが一般的ではないでしょうか。というか多くの経営者は自分が間違っていたと認めることができないので、多少かたちを変えてでもなんとか実現しようとしてしまいます。

それがセブンイレブンの場合はあっさり見限る決断ができたんですね。これは素直に凄いことだなと感じました。そして失敗を認め、すぐに修正できることは、長期的にみれば正しい経営判断だといえると思います。

このあたりは「コンビニ」という業態が関係しているのかもしれません。コンビニでは実に多くの新商品がほとんど毎日のようにリリースされています。当然、その全てがヒット商品になるわけではなく、多くの失敗を経験した上でその中の一部がヒット商品になり、ロングセラーとなっていきます。

そう考えるとコンビニという業界においては「失敗する」というのは、結果ではなくプロセスなのかもしれません。「失敗した商品はすぐに生産をやめて、また新しいものに挑戦すればよい。」そんな気質があるからこそ、コンビニは常に新しい商品を作り続けることができるのだと思います。(絶対に失敗できなかったら新商品開発なんて誰もやりたくないですからね。)

7Payは大失敗でしたが、セブンイレブンとしてはそれを認め、すぐに終了するという決断をすることができました。こういう経営判断ができる会社は、実は日本ではそう多くないのではと思います。

セブンイレブンに対しては不正利用の被害者に対して真摯に向き合ってもらいたいと思いつつ、私たちは今回の件の教訓として「本当に駄目だと思ったら、すぐに引き下がる覚悟」というものもまた学ばねばと思うのでした。

あなたはどう思いましたか?ではまた!